複数のキャンパスを有する慶應義塾大学では、かつては、事務文書の翻訳体制もキャンパスごとにバラバラでした。今ではクラウド上で、翻訳者が1つのチームとして業務にあたっています。この、慶應義塾大学の事務文書翻訳チーム「Keio Translation」(愛称「Kトラ」)は、どのキャンパスからも共通の画面を通じて翻訳を受注、進捗を管理し、日英用語集を構築する「Honyaku Cloud」システムを利用。Honyaku Cloudによって、慶應義塾大学は、翻訳依頼の一元化、翻訳時間の削減と質の向上、キャンパス間の情報共有の強化を実現しました。
慶應義塾大学は、2014年度、スーパーグローバル大学創成支援事業に、世界レベルの教育研究を行うトップ大学(タイプA)として採択され、「英語化」はそれまで以上に大きな課題の一つになりました。しかし、各キャンパスの翻訳者や事務職員、外部業者などが作成した英語訳を、大学全体で整備・管理する仕組みがありませんでした。これでは、翻訳の作業効率が悪いだけでなく、誤訳があっても気づきにくい、ひとつの日本語に複数の訳語ができるといったことも起きやすい。トーンやマナーも統一されておらず、問題の解決が急がれました。
そこで、弊社は、慶應義塾大学の要望をうかがいながら、複数のキャンパスをつなぐ翻訳受注システムと、専門用語を辞書化する用語集機能を開発・整備しました。どのキャンパスにいても「Kトラ」チームの翻訳者は、翻訳者用の管理ダッシュボードにより、翻訳依頼と進捗状況を把握することができます。過去に翻訳したデータにもいつでもワンクリックで飛べる翻訳アーカイブと、慶應義塾大学独自の用語を辞書化していくための用語集も整備しました。用語集は、学内の職員にも公開され、日々の業務に活用されています。このHonyaku Cloudは、弊社の専属翻訳チームが慶應義塾大学内の事務文書翻訳者チーム「Kトラ」と同じリソースを共有しながら開発・運用しています。
また、弊社では、Honyaku Cloudのシステムの開発・運用のほかに、慶應義塾大学のウェブサイト掲載の特集記事の翻訳も一部お手伝いしています。このような特集記事が慶應義塾大学の大切なブランディング・コンテンツであることを意識し、Honyaku Cloudに蓄積された大学独自の用語にも目配りしながら、英語圏のオーディエンスを意識して翻訳しています。幸いに、これまで翻訳した英文記事は、教職員から的確で読みやすいと大変好評をいただいています。このような記事も、用語集・翻訳メモリに蓄積され、大学の翻訳資産になっていきます。